デザイナー田村秀和の思考法とスキル
■ラテラルシンキングとデザイン
- ラテラルシンキングとは
ラテラルシンキングとは、論理的・垂直的な思考(代表格がクリティカルシンキング(批判的思考)、ロジカルシンキング(論理的思考))とは異なり、「水平思考」と呼ばれています。常識や前提にとらわれずに、物事を斬新な視点で捉えて問題を解決する思考法です。
ラテラルシンキングは、1967年に、マルタ共和国の医師であり心理学者でもある
エドワード・デボノ博士によって提唱されました。
ラテラルシンキングの主な特徴として
・常識を打破する
物事を「当たり前」と捉えず、「なぜそうなのか?」と問い直す
・視点を転換する
正面からでなく、斜めや横からアプローチして解決策を探る
・直感やひらめきを活かす
ロジックだけでなく、直感や偶然もヒントにする
・間違いや突飛なアイデアを歓迎する
初めは「おかしい」と思えるアイデアも、新たな発見につながる可能性がある
ことなどをあげることができます。
- デザインとは何か
「デザイン」と聞くと、何やら難しそうなイメージが浮かぶかもしれません。
デザインという言葉を調べると「デザイン=問題解決」といった説明がよく見つかります。
つまり、デザインとは「アイデアを使った問題解決の方法」ということができます。
ここでいう「問題」とは「商品が売れない」「印象に残らない」などを指します。
例えば、「オセロ」の売上が落ちてきた場合、どうすれば売れるでしょうか?
品質を向上させたり、スタイリッシュなデザインにしたら売れるでしょうか?
恐らく、それだけでは解決になりません。なぜなら、問題の本質は 「一家に二台もオセロはいらない」 という点にあるからです。
ここで生まれたのが、約50年ぶりにリニューアルされた「立体的な3Dオセロ」で
す。
従来の「座って遊ぶオセロ」とは異なり、「立って遊ぶ」という新しい体験を取り入れたことで大きな話題となり、2022年には日本おもちゃ大賞を受賞、大ヒットしました。
このように、デザインとは「見た目をよくする」ことではなく、「問題解決のアプローチ」なのです。
そのためには次の2つを適切に行うことが重要になります。
・コンセプト(何を伝えたいのか)を明確にする
・ターゲット(誰に伝えたいのか)を正しく設定する
これらが正しく定まっていることで、デザインは初めて本当に機能します。目的とターゲットを見極めることで、デザインの力は最大限に発揮され、最終的には顧客の目的を達成することへと繋がります。
見た目が恰好良くても、問題が解決できなければ、デザインとしては失敗なのです。
- デザイナーの役割とラテラルシンキング
私たちデザイナーの仕事は、大きく2つの要素に分かれます。
・装飾(見た目のデザイン)
・アプローチ(問題解決の考え方)
多くの人は「デザイン=見た目をかっこよくすること」と思いがちですが、実際にはそれだけではありません。
先ほどのオセロの例のように、「どのようなアイデアで問題を解決するか」こそが
デザインの本質です。
そして、デザイナーの私が効果的なアプローチを考える際に活用する考え方が「ラテラルシンキング」という発想法です。
- アイデアを生み出す観察力
デザイナーが「問題解決のアプローチ」を考える際に、最も重要なのは「アイデア」です。
そして、良いアイデアを生み出すために不可欠なのが「観察力」です。
特に現代では、どの商品やサービスも似通っており、ただ作るだけでは顧客に選んでもらうことができません。
顧客に選んでもらうためには「ありそうでなかった、わくわくするアイデア」が必要になります。このアイデアを生み出すために必要なスキルが「観察力」です
ここでいう「観察する」ということは「意識する」ということです。ただ眺めるのではなく「なぜ?」と考える習慣を持つことで、情報が「自分ごと」となり、深く記憶に残ります。つまり、「なぜ?」と意識することで、知識が身につくのです。
逆に意識しない情報は、ほとんど記憶に残らないのです。だからこそ、意識的に観察することがとても重要になるのです。
「~なのはなぜか?」と自問しながら観察する習慣を持つことで、記憶の定着がより効果的になります。何かを観察したら、必ず「これはなぜ?」と自分に問いかけてみましょう。
そう考えることで、記憶に残りやすくなり、知識のストックもどんどん増えていきます。
(デザイナー 田村秀和)
ラテラルシンキングを使ったデザイン実例紹介①
モンスター3匹見つけるとお菓子プレゼント企画
→子供たちは3匹見つけただけでは帰らず、結局全部見つけるまで滞在
ラテラルシンキングを使ったデザイン実例紹介②
今は見かけない、実家の柱に身長を印として刻むことで家族の身長を記録に残す
→当初は親子向けの企画でしたが、部活帰りの学生やカップル、祖父母と孫など、さまざまな
人が参加し、「伸びた!」「勝った~!」と身長を測る楽しさを共有
また、毎年同じ場所で実施したことで、前年に来場した人の再訪も多く、リピーター獲得に
デザイナーが使う「ラテラルシンキング」
デザイナーが使う「課題解決のためのラテラルシンキング(水平思考)」
- 「デザイン=見た目をよくすること」と思われがちですが、
実際には「どのようなアイデアで課題を解決するか」こそがデザインの本質
- そして、デザインにおいて最も重要なのが「アイデア」
現代ではどの商品やサービスも似通っており、単に作るだけでは選ばれません
- お客様に選んでもらうために必要なことは、
「ありそうでなかったワクワクするアイデア」
「そもそものゴール(目的)」を明確にし、課題解決までの突破口として、
新しい価値(ワクワクするアイデア)を生み出すフレームワークがラテラルシンキング
新しい価値を生み出す 『アイデア創出研修』概要
研修の狙いと実施要綱
【研修の狙い】
“常識にとらわれない柔軟な思考回路”のフレームワークを学ぶことで、「不満
に気づく力」や「なぜ?を追求する力」「ならばと考える力」を身につけ、
創造的思考力で新しい価値(ワクワクするアイデア)を生み出す力を養います
【受講の対象者】
イベント企画、広報、販売促進、商品企画、採用のスタッフ及びマネジャー
【研修の進め方】
集合研修
1日研修(10:00~17:00)
オプションコースとして2日コースあり
定員 15名以内(1クラス)
研修の特長
「5つのステップ」+アウトプット実習(オプション)で学びます
研修で生み出す成果
ラテラルシンキングのフレームワークを使って
観察力を使って知識を集めることからスタートし
知識を組み合わせてアイデアをつくり
その中からありそうでないワクワクするアイデアを生み出します
研修カリキュラム1
時間 |
カリキュラム |
主な内容 |
10:00 12:00 |
開講 オリエンテーション 1デザインとラテラルシンキング ・デザインにおけるラテラルシンキングの必要性 2観察力を鍛える ・観察力クイズ ・観察力トレーニング 3デザインの役割 ・デザインとアートの違いクイズ ・デザインの機能性 4アイデアのつくり方 ・知識のパズルゲーム ・わくわくするアイデアクイズ |
ラテラルシンキングとは何かの理解 ラテラルシンキング需要増の背景を理解 「見る」と「観る」の違いを知る アイデアの元となる知識のピースの集め方 デザインの役割と適切な課題解決へのアプローチ法 デザインゲームのポイントと日本人の感性の理解 知識のパズルゲームの理解 ジャンル別のワクワクするアイデアを知る (広告編、プロダクト編、企画編、タッチポイント編、Web編) |
13:00 17:00 |
5センスの鍛え方 ・センスの鍛え方 ・炎上について ・明日からできるセンスの鍛え方 6アウトプット実習 例題:「コロナで業績が悪化という問題に対し、 ○○の業績が3倍に! 一体どんな企画制作?」 閉講 |
センスは技術、「普通」の重要性と「半歩先=ありそうでない」 3歩先の(奇抜な)組み合わせと不安・恐怖の関係性 好奇心の育て方、感度のアンテナの磨き方 Step1 正しい現状分析と現状抱えている問題の抽出 Step2 逆転メガネ手法(問題点に焦点を当て、「そもそも」の 仮説をつくる Step3 知識のピースの組み合わせゲーム |
研修カリキュラム2〔アウトプット実習(オプション)〕
時間 |
カリキュラム |
主な内容 |
10:00 12:00 |
開講 7正しい視覚情報の伝え方 ・構図(レイアウトテクニック) ・配色(カラーの使い方テクニック) ・書体(理解と適所適合のテクニック) ・正しくAIを活用する |
パワーポイントを使った王道ルールの理解 (構図、配色、書体) AIの適切な活用法を理解する |
13:00 17:00 |
8ポスター制作 ・パワーポイントを使ったポスタ―の制作 ・発表と講評 閉講 |
パワーポイントテクニックを活かしてポスターを制作する |