※ご質問をクリックするとご回答が見られます
SE経験者ですから、担当していた技術面には当然精通しているはずですが、SEとしての活動の質という側面から見ると二つのことを前提として押さえておく必要があります。一つは営業と一緒になって顧客との接点活動が多いケースです。この場合は顧客との交渉力もかなり身についていると考えて良いでしょう。二つ目は、やや後方でのSE活動のスタイルです。営業情報を基にして開発主体で活動してきたために、不確定要素の伴う交渉力などはまだ磨かれていません。
さてこうしたSEの人たちが営業の最前線で活動するわけですが、多くの傾向として、顕在化したニーズや顧客からの依頼案件については、技術への精通力を活かしてかなりの対応力を発揮することができると考えられます。しかし、ご質問のような新規案件の発掘から受注活動となるとやはり様相が変わってきます。顕在化したニーズに対して具現化説明をすることと、潜在ニーズを引き出し、これを顕在ニーズに持ち上げる活動は本質的に異なるということです。このことは前述しました二つのケースで、最前線で活動していたSEも実は顕在ニーズへの対応に取り組んでいたにすぎず、潜在ニーズの顕在化活動までは行っていないということです。後方型のSEはなおさらです。
つまり、多くの傾向として売る力の入り口である「会社を売り、自分を売り、そして商品を売る」という基礎力がないままに活動していることが多いということです。SEとしてはそこまで求められていなかったと言った方が正しいかもしれませんが。
顧客開拓の新規色が強ければ強いほど、
会社PR→弊社とお付き合いいただくことで必ず御社にメリットを提供できます。
自己PR→弊社の代表として、責任を持って御社にお役立ちします。
商品PR→この商品は御社の○○の改善に大きく貢献することが可能です。
と相手に訴え、相手の理解と納得を得る基礎力が重要となります。
まずはこの基礎力を点検して、しっかりと身につけることが大変重要だろうと考えることができます。
またその際は、SEの「経験者」だからということで決めつけないことが重要です。もう少し付加しますと、名刺交換の基本動作や受付での名乗り方などが十分でないことも実に多いものです。こうした点も合わせて再強化をすることを検討してみてください。
社内既存組織との整合性をとりながらも、既成の枠に捉われない新しい販売戦略を立案してスタートを切ることが重要となるでしょう。
こうした新しい組織の場合、「上からの指示だからやるしかない」と心意気だけでスタートを切ってしまいがちですが、それでは成功はおぼつかないものになってしまいます。まずは、クロス販売成功のための戦略を明らかにして、社内既存組織との整合をとる必要があります。状況によっては既存組織との協働になることも多々あります。
戦略の立案時にしっかりと押さえて欲しいことは、『クロス販売によって顧客に提供できる新しい価値は何か』の仮説を立てることです。ここからスタートしないと、とりあえず既存顧客にヒアリングしてから…という活動パターンになり、何時まで経っても新しい提供価値を固めることができなくなります。そうすると既存組織との軋轢を生む活動につながり、新しい組織の本来機能を発揮することができなくなってしまいます。
仮説を立てた後に、既存顧客に対するテストマーケティングとしてヒアリングに動くことは問題ありません。ヒアリング活動も実は似て非なるものなのです。
さて、活動レベルでの留意点としては以下のことを押さえておいてほしいです。
クロス販売によって顧客に新しい価値を提供するということは、顧客のキーマンや決定権者が異なってくるということです。つまり既存商品の取引窓口には既存商品が生み出す価値を提供している訳で、その価値を越えた提案に対する判断ができないという現象が起きます。時には、既存取引窓口の考え方や価値観に相反することも出てくる可能性があります。
従って、提案する価値を判断できる人と会わなければ進まないということになります。
この活動の推進においては先ほどに話が戻りますが、やはり自社の既存組織との情報の共有化が欠かせず、かつ、既存組織の目先の利益優先の枠を超えた活動を展開していくことが求められます。
ですから戦略と活動計画については、関係者に伝達しておくことが欠かせません。内容によっては既存組織の了解がなくても、トップの意志として推進するということもありますが、認識してもらっておくということは大切でしょう。
新組織も今は早期にアウトプットが求められる時代です。だからと言って、「とりあえず解っているところから」「とりあえずできるところから」の場当たり活動ではすぐに壁に当たってしまうのが今のビジネス環境です。場当たりの罠に陥ることのないように取り組んでください。
結論から言えば、あなたが研修を通して強化したいと考えている目的は、上司にとっては手段のひとつでしかないということではないでしょうか。
新規開拓力の強化が重要テーマとなっているのでしょうから、何らかの強化策を講じなければならないという問題意識についてのズレはないでしょう。でも上司からすれば、会話力の強化や世間話力の強化を図ることが新規開拓力の強化にどれだけのプラスの影響を及ぼすのかについての効果予測が得られないということのように思います。つまり、会話力の重要性については分かるが、もっと重要なアプローチ策があるのではないかということなのでしょう。この観点からすれば、あなたにとっての目的は上司にとっての手段になってしまっているという関係性を生んでいるということは容易にご理解いただけるのではないかと思います。
ということは、このズレを修正しなければならないわけですが、参考に私たちが営業力強化の際の基本としている方程式をご案内します。
それが、『業績=戦略・計画×(訪問×面談×商談)』というものです。
この方程式に会話力や世間話力を当てはめてみますと、客観的には商談力を構成する一要素であるということがさらに分かっていただけると思います。
貴社の新規開拓力を強化するには、「上記の方程式に当てはめてまずは現状を把握すること」、そして、「新規開拓力をつけるためにはどの要素から強化策を講じることが最も効果的かの検討を行うこと」、その結果を持って「研修という手段で手立てを講じるテーマに関する企画を構築すること」という検討ステップを踏むことが基本となるでしょう。
営業マンの動きや商談状態を見てみると、比較的目に見えやすい会話力などのスキル不足が目立ってきますが、そこに直接的な手立てを講じれば効果が上がるかと言えばむしろそうでないケースが多いものです。問題は意外に別のところにあったなどということも多いものです。企画前段階における時間とマンパワーがどれだけかけられるかという問題はありますが、まずは先にご案内しました方程式に則って自社の営業の実力の実態を把握することは欠かせないことだと思います。その上で、「方程式は掛け算である」ということも念頭において、強化策を組み立ててみて下さい。
お問い合わせ内容は、新規事業を立ち上げよ!といわれているに等しい重要な課題のようです。最近「既存のビジネス以外の売上を上げたい」というご相談が増えています。またそのためのトレーニングは何が良いか?といったご相談も多くなっています。
今回のご相談は非常に大きなテーマのため、原則のみのご案内となります。
今回の課題を成功させる条件は、周到な準備と、不退転の決意のもとに営業部門または全社の力を結集させることにあるといっても良いでしょう。まずはS.I様が中心となって課題を成し遂げる意識を強く持ち、それを関係者と共有し巻き込んでいくことが必要となります。
原則論ですが、新規事業探索の基本ステップは以下の通りです。
1.まず新しい事業を成功させる成功のツボを押さえることが重要となります。
2.自社の強みを活かすモノやサービスを探し、それらを最大限に活かせるような事業を選び、そこに集中することが重要です。
3.次に、競争力が発揮できる仕組みをつくる必要があります。これには社内の権限委譲なども含まれます。
4.そして、当然ですが新規事業成功のカギは、顧客が握っています。これまでの思い込みや既成概念にとらわれずに、必要な調査や検討にはしっかりと取り組み、具体的で確信の持てる計画をつくる必要があります。
以上が戦略立案のフェーズですが、トレーニングのフェーズのポイントは次のようになります。一見遠回りのように思えますが、出来上がったモノを与えるというよりは、可能な限り足元から考えさせるということも今後の実践を考えると重要となります。
1)自社・自部門の強みは何か?
本業での強みは何か?を考えます。その際提供している「モノ・サービス」に対するお客様の評価を知る必要があります。また貴社の提供している「モノ・サービス」はビルの価値を高めるためにどのように役に立っているのか?も考えてください。
2)どこの誰をターゲットにするか?
貴社の場合ターゲットはまずは既存のお客様です。これをセグメントし、ターゲットを具体的に絞り込みます。その際、ビルの規模、用途などのセグメント基準以外に、貴社の営業担当者の方の「客先との人間関係」をセグメント基準にしてみることも大切です。人間関係は、定量化する必要はないと考えます。良い○ ふつう△ 悪い×くらいでOKです。
3)ターゲットに対し、提供できる「モノ」は何か?
ターゲット顧客が具体的になった段階で「何が提供できるか」を考えます。その際、「ビルだからLED照明」等安直に考えさせないことです。まず、貴社が納めている設備の機能アップや使い勝手の向上、ランニングコストの削減などに役立つ「モノ・サービス」は何か?貴社以外の設備の機能アップに関しては…?ビルの価値向上に対しては…?と言うように本業から段々広げて考えることがコツです。
4)ターゲットとの関係構築をどのように行うか?
営業・メカニックなどそれぞれの担当者がやるべきこと、会社として取り組むことを明確にして、トレーニングを行います。
実際には上記ステップの3)あたりから、新規事業探索の内容を織り込んでいくのですがここでは割愛させていただきます。
以上を参考に、貴社の新規事業立案策を考えてみてはいかがでしょうか?
今のままでも結構コミュニケーションはとれていると思う…」「仕事に必要なコミュニケーションはとれていると思う。これ以上やろうと言われても…」といった部下の心の声が聞こえてきそうです。エンジニアという技術者集団、顧客への定期点検やトラブル対応といったサービスエンジニアの仕事特性などもコミュニケーションに対する認識のギャップに拍車をかけているのかもしれません。
いずれにしても「コミュニケーションが不足しているから、もっとコミュニケーションをとろう」と号令をかけても、具体的に何をどのようにして良いか分からず消極的な姿勢になってしまっているのではないかと推察できます。
コミュニケーションは組織の血液とも言われ、仕事を順調に進めていく上でも、チームの活性化を図る上でも非常に重要な要素であることに違いはありません。“コミュニケーション”の一言で片付けてしまうのではなく、もう少し具体的な形で示し、部下が具体的に何をどうすれば良いのかを提示することが必要ではないでしょうか。その代表的なキーワードのひとつがホウレンソウ(報告・連絡・相談)です。もちろん「ホウレンソウを徹底しよう」の掛け声だけでは不十分です。
サービスエンジニアをまとめている、ある所長の取り組み事例をご紹介しましょう。
まず一つ目は、朝礼はこれまでもやっていましたがその中身を変えました。これまでは所長が業務報告や注意事項を一方的に伝えるのが主だったのですが、部下に参画させるようにしました。
毎朝、部下一人ひとりが今日の活動予定を発表します。中身は、どこに行く→何をしに行く→そのための準備は怠りないか→目指す成果は何か(「修理を〇〇分以内に終える」等)→顧客と何を話す・確認する、の要点をはっきりと話すということです。
二つ目は、重要案件の場合は、それが終わったら直後に電話で報告を入れるようにしました。作業は無事に終わったのか?どのくらいの時間を要したのか?顧客の反応はどうだったのか?残った課題はないか?などを簡潔に報告してもらい、必要に応じてアドバイスをするようにしました。
三つ目は、業務報告書を提出する際に、感じたことや気づいたこと、顧客と約束したことなどを必ず口頭で報告させるようにしました。
部下たちは、最初は戸惑いや面倒くさいという雰囲気を出していましたが、これに慣れてくると、部下同士のコミュニケーションも急速に活発になってきました。自分の経験を通してアドバイスしたり、「あのことはあの人に聞けば分かる」というように情報が共有できたりするようになりました。仕事の生産性においても良い影響を与えています。
以上、ひとつの事例をご案内しましたが、こうした具体性と継続性が重要であることには気づいて頂けたのではないでしょうか。是非自分なりの『具体的な方策』を練って実行に移していってください。
ミスを起こす原因は能力不足や行動によるものだけでなく、心因によるケースもあるようですが、ここでは行動という側面から見ていきましょう。
誰しもミスは犯すものですが、再発を繰り返すとなると、その理由として
・なぜミスをしたのかの原因を追究しない
・チェックをするのは自分の仕事ではなく、他者の仕事と考えてしまっている
・同じミスを犯してしまったという認識がない
・自分のやり方が正しいと思い込んでいて、注意されても変えようとしない
・ミスを犯すと先に言い訳が出てしまう(その場を適当に済ませようとする)
などが考えられます。
このような人の行動傾向として、仕事のプロセスをジャンプするということが挙げられます。これはコミュニケーションの場面でも多く見受けられるようです。「〇〇をいつまでにお願いします」という指示に対して「分かりました。頑張ります」「大丈夫、なんとかします」と根拠のない返事をしてしまい、『納期は守っても仕事の質に問題あり』ということになってしまうのです。仕事を正確に進めるためのプロセスが当然ある訳ですが、このプロセスを「まあ大丈夫だろう」とか「過去にやったから問題ない」とジャンプをしてしまうのです。
ですから、ミスの再発を防ぐには仕事のプロセスをジャンプさせないやり方を身に着けさせる必要があるということになります。
この参考として、石田淳氏が提唱されている『IS行動科学マネジメント』のメソッドを挙げられるでしょう。これは人材育成方法なのですが、下記の5つのステップで示しています。
①行動を分解し、行動のレパートリーを与える
②行動の核を見つける
③チェックリストをつくる
④行動することを快につなげる
⑤理念をインストールする
①と②だけでも興味深いものがあります。
①は行動を分解するということです。『できるだけ細かい要素に分解することが重要』と。
そして②です。『行動を細かく分解したら、行動の核を見つけるということ。行動の核とは、一連の行動の中でも「習熟を要する部分」のこと。行動の流れには必ず核がある。分解した行動を見ていくと、難関となる行動が必ず見つかる。行動の核とは「自然にできないこと」。つまずきやすく反復して練習しないとなかなか身につかないこと』と。
仕事のミスを犯す人、特にプロセスジャンプをする人は、自分がやるべき仕事の行動を細かく分解して書き出すことができないようです。さらに、習熟を要する核となる行動に対しても、自分の習熟度を判断できずにいる(むしろ「できている」と思っている)可能性が非常に高いということが考えられます。まずはご紹介した上記①と②に取り組ませてみるのも効果的だと思います。
サービス会社で売上拡大のための営業の仕組みと社員教育を考える場合、単に営業担当者を対象とした営業強化の教育や営業部だけの仕組みを考えても効果的ではないようです。
サービス会社の「売り物」はサービスです。売り物である「サービスの質」が悪ければ営業が頑張って売り込んでも「返品=解約や継続契約無し」の状況になります。
今は御社の事業の各論にまで触れることはできませんが、トップからの指示があるということはその根本のところからの再構築を図るという考え方も必要だと思います。この観点から、まず次の大きく6つの切り口で考えてはいかがでしょうか?
1つ目が「サービス哲学の浸透」です。
これは、サービス会社として目指すものを明確にすることです。「社会」「顧客」「従業員」に支持される内容にする必要があります。具体的には、社会活動の質や水準を高める、顧客の事業のお役に立つ、従業員が仕事を通じ生活の質や満足感を得られる、といった内容でしょう。
2つ目が「サービスビジョンづくり」です。
社員が参加して、自分たちのビジョンをつくることです。ビジョンは社員が業務を遂行する時の判断基準になるので、具体的に分かり易く表し、社内外にアピールしていきます。
3つ目が「情報の共有化と活用」です。
定期的なお客様調査と市場調査による「現実」「現場」「生の声」の情報収集と分析・活用プラス毎回の訪問時の情報収集と分析・活用です。
4つ目が「サービス戦略策定」です。
ビジョン達成の実行戦略を策定し共有化します。具体的には、部門レベルまで戦略を落とし込みますが、「どこの誰に」「何を提供するか」「どのように関係を構築するか」の観点で落とし込みます。
5つ目が「仕事のプロセス改善とマネジメント」です。
サービス品質を高める仕事の考え方・進め方を実践定着させます。顧客との接点だけの業務ではなく、電話応対から社内業務の処理まで職務横断的に考え実施します。これらも直接業績に結びつく要素です。
6つ目が「人財育成と学習環境づくり」です。
サービスビジョン達成に必要な「意識」「知識」「技術」に集中した教育を企画実施します。
以上の6つが相互に関連し、成果に結びついてきます。
これを参考に、現状御社で取り組んでいること、さらに強化すべきこと、新たに取り組むことを整理してみてください。変化・変革に取り組む場合には、根本的なところに再着目してそこからスタートを切ることは大切だと思います。
知識やスキルがあるから「あれこれ細かく言うのは失礼かな」とか「当然わかっていると思うで、質問してはいけないかな…」などなど、相手に対してどうしても遠慮してしまう。そして開発が順調に進んでいれば尚のこと、「とりあえずは良いか!で済ませてしまっている」現象は意外に多くあります。こうした関係では、目先の作業はこなせることができても、お互いに良い仕事をするという観点に立てば、もっとコミュニケーションを深めていかなければならないでしょう。
コミュニケーションは大きく分けて仕事指向のコミュニケーションと人間関係指向のコミュニケーションがありますが、これらは表裏一体でどちらも大切にしなければなりません。お問合せの状態が進むと、最低限の仕事のコミュニケーションしかとらなくなり、希薄な関係を生んでしまいます。それが仕事に対するモチベーションを下げ、ある時…となりかねません。
今回のような場合、先ずは仕事のコミュニケーションの質の向上を考えてみてください。今現在携わっている開発だけのコミュニケ―ションに終始するのでは不足と言わざるを得ません。一緒に良い仕事をしていくためには、何を伝えて、相手との共通理解をつくるのかに取り組まなければなりません。例えば、
・その仕事をする必要がどこにあるのか
・その仕事をすることにどんな意味があるのか
・なぜ自分(たち)がその仕事をするのか
・なぜ期日までに仕上げる必要があるのか
・なぜその数字を達成する必要があるのか
・その仕事は、全体業績にどれくらい貢献するのか
・その仕事は、全体の中でどんな位置づけにあるのか
・その仕事は、将来何につながるのか
・その仕事は、自分にどんなメリットがあるのか
などを折に触れて伝え、相手の関心を引き付け、高めていかなければなりません。これなくして今後も一緒になって良い仕事をしていくことはできないのです。このことはマネジャーとしての重要な役割でもあり、このコミュニケーションにおいては遠慮などが入る余地はありません。
このコミュニケーションが深まってくれば、人間関係のコミュニケーションももっと深まりを見せるはずです。多くのシステム系マネジャーからお伺いする本音「当たり障りのない表面的な人間関係ということに気づいてはいるが中々入り込めることができないし、入り込む術が分からない」を打破し、もっと深めることができるはずです。
大切なのは、これらは上位であるマネジャーから働きかけていく必要があるいうことです。遠慮しないで積極的な行動を起こしましょう。
社員教育のご相談を受ける時、よく「我々の業界は特殊だけど・・・」や「我々の業界で実績のある講師はいますか?」と聞かれます。自社に適した教育会社や講師を選びたい!という想いからのご発言だと理解しております。
自社に適した教育ということですが、企業教育の目的を簡単に表すと「組織の目標達成のため、望ましい行動がとれる人を育成する」ということが出来ると考えます。社員教育では、そのために必要な「知識」「スキル」「意識や考え方」「やり方」などの習得やレベルアップ目指して教育することになります。
H.Wさんが所属する団体でもこの基本は変わらないはずです。身近なこととして、職員の方が行う仕事を「業務プロセス」の観点で考えればわかりやすいでしょう。
例えば「オーダー処理の業務プロセス」や「企画立案の業務プロセス」など、組織における成果は複数の「業務プロセス」によって生み出されています。それぞれの業務プロセスは個人や組織を跨いで実行されます。これらの業務遂行に必要な知識やスキル、意識や考え方、やり方などに、一般企業との大きな違いはありません。
ですから、H.Wさんの所属する団体の職員の方が業務を遂行する上で必要とされる育成テーマを明確にすることをまず明確にする必要があるでしょう。
そして、次の検討課題が研修の運営者である講師についてですが、選んだテーマで実績のある講師がいればそれに越したことはありませんが、だからと言って経験重視だけのモノサシで決めることはあまりお勧めしません。たとえ経験がなくても、H.Wさんの考え方や想いを真摯に受け止め、不足分は一緒に学びながら、貴団体専属のように真剣に対応していただける講師を選ぶことも大切な視点ではないかと思います。
新人の早期戦力化は何時にも増して重要度が高まってきているように感じます。ビジネス活動の活発化に伴って、現場で早く一人前の戦力として貢献して欲しいという配属先の要求は高まるばかりのようです。それを受けての新入社員フォロー研修となれば、仕事に対する厳しさをもっと自覚させ、自分の成長にチャレンジさせて仕事への貢献力を発揮させたいという考え方が強まるのも当然でしょう。
とはいえ、フォロー研修の今の「振り返り→マインドリセット→2年目目標の明確化」というストーリーは基本として捉えておいて良いのではないかと思います。好みの問題で、奇をてらった内容や精神的に鍛え直す方法などを求められるケースもありますが、仕事の厳しさを自覚させるのならば仕事そのものと正面から向き合う場面をつくることは避けて通れないのではないかと思います。
要は、仕事について考える際の「具体性」と「掘り下げ」がポイントの一つになるように思います。
ここで指摘させていただきました「具体性」と「掘り下げ」のヒントとして、以下のことを検証してみてください。
1.仕事と作業を勘違いしていないか
指示された作業がしっかりとできるようになっていたとしても、それは仕事ができることとは違う。作業の完結が仕事の完結ではない。
2.ホウレンソウに独断が出てきてはいないか
ホウレンソウの価値基準を自己判断で決めつけてしまって、上司や先輩から声をかけられてのホウレンソウが多くなってしまっている現象は、すでにビジネス人としての基本からずれてしまっている。
3.納期と品質の両方が遵守できているか
受け身型のホウレンソウは納期意識の甘さを生み、仕事の品質に対する鈍さを生んでしまう。仕事の基本が出来ていないことと同じ。
4.約束事が本当に守れているか
時間を守る、納期を守ると同じだが、もっと身近な日々のこと、例えば業務日報をきちんと書く、書類提出をキチンとするなど。先輩のルーズさに合わせて自分も無意識にルーズさの罠に落ちてしまっていないか。
5.「まだ教えてもらっていません」という発言を当然のように発していないか
これも受け身現象の一つ。怖いのは、この発言は「私は自分の力で考えることができません」と言っていること同じだということを知らないということ。
6.相変わらずメモを取らないことで指摘を受けていないか
メモを取らないのはよほど優秀で記憶力がしっかりしているか、ぼんやりしているかのどちらか。多くは後者かな!分からなかったらその時に聞けばいいという甘い姿勢の表れでもある。独り立ちとは程遠い。
などなど、仕事の日常行動とそれへの考え方を、事実に即して振り返らせる場づくりができていなければなりません。ここまで掘り下げないと真の気づきには至らないように思います。例として6つ挙げましたが、もちろんすべてやる必要はないでしょう。仕事の事実に即して、どこか一点から掘り下げていくやり方でもいいと思います。
事実・現実に基づいた気づきが本当に自分を変えるきっかけになると思います。
今回ご案内したこの一点ですべての改善が図れるわけではありませんが、仕事への自覚を高めるというテーマとの関連で、一度掘り下げてみていただきたいと思います。