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研修では1クラス何人が適正人数なのか?

研修実施の時に1クラスは何人が適正人数か、というのは案外重要なことです。
例えば研修を外注に出す時の見積もりにも影響しますし、会場をいくつ、またはどれくらいの広さを押さえるかという対策にも影響します。
今回は「研修の1クラスは何人位が適正人数なのか問題」について考えていきたいと思います。
1クラスは何人が適正なのかということについては、企業研修では恐らく確立されたルールがある訳ではないと思われますが、学校教育と職業訓練校では標準値をどう設定しているのか、というデータがあります。
企業研修も学校の勉強も「教育工学」「インストラクショナル・デザイン」という学問の研究対象ですので、一つの参考値として大いに説得力があると思います。

小学校の1クラスの人数

小学校の1クラスは基本的に弾力的な運用が認められていますが、令和3年から段階的に「1クラス35名標準」に人数の引き下げが行われています。
令和7年からは基本的な標準値として、小学校は1クラス35名までとなります。
この数字にはいくつか背景があって、

①戦後の教員不足の時代から「授業は人員の面で効率的に行わないと足りない」という考え方だった。
現在も教員不足は深刻な社会問題になっている。

②1クラスの人数が少ない方が教員の目が届きやすい。
また、1クラスの人数が少ない教室は生徒が不登校になる可能性が低下する現象が見られる。

③少子高齢化なので子供の人数が減ってきて、クラスの人数を減らす見通しが立つようになった。

の3つの要素が絡み合って人数が決められているように感じます。
基本は1クラスの人数を減らしたいのだけれども環境が整わない、という状況が続いていたと言えます。
なお、中学や高校も数字としては近いもので、1クラス40名以下と文部科学省が取り決めています。
大学のゼミや演習クラスについては「少なすぎても多すぎてもいけない」と言われています。
10人~20人位が適正人数、と言われているようです。

職業訓練校の1クラスの人数
もう一つの基準値は職業訓練校です。
以前、民間の職業訓練校が実施する授業設計のやり方を教える授業に参加したことがあります。
その時に一つの基準値として提示されていたのが

①1クラスは30名以内
②危険な内容がある授業の場合は15名以内

という数字でした。

①については小学校の考え方と同様、1クラスの人数が多すぎると目が届かなくなるから、というのが理由です。
②については例えば溶接や高所作業等、教える側がしっかり監視していないと事故につながる恐れがあるようなものについては、より人数を絞るように、とのことでした。

では、研修については何人が良いのか
このように整理すると、研修についても職業訓練校の基準値と同等で良いのでは、と考えられます。

・1クラス30名以内が望ましい(講師の目が届かないので)
・講師からのアドバイスや助言が非常に重要なものは、できれば15名以内が望ましい

という基準値をお勧めしています。

未来マネジメントでは、例えば35名の場合は2クラスにするかどうかというと、1クラスでお受けしてしまう場合もありますが、40名を超えたらできる限り2日程または2クラスにしていただけるようにお願いをしています。
では、例えば募集したら人数がすごくたくさん集まってしまったので50名ではできないのかというと、もうどうしようもないという事情があればお受けすることは可能です。
しかし、その場合は「受講生の一人ひとりには目が届きにくくなること」、結果「アンケートで多少の不満や批判が出てもそこには目を瞑ってください」「来年からは2クラスでお願いします」というお願いをしております。

以上、研修の1クラスの人数について説明をさせていただきました。
テキスト代が人数によって変動するお見積もりや定員オーバーの場合は一人当たりの追加費用が発生するというお見積もりもあるようですが、多くは1日いくら、という見積りになっていて受講人数による変動値はそこまで大きくないケースがほとんどであると思います。

1つのクラスに受講生を詰め込みすぎると、講師の目が届きにくくなって受講生の満足度が下がる結果になりやすいです。
また、「たくさん受講人数を集めたほうが得だから」という考えで研修のテーマに関係ない受講生や、テーマに合致しない受講生まで参加させてしまうと、「なんで受講させられたのか分からない」「私の仕事とは関係なく講義の内容がわからない」「受講したけどまったく意味がなかった」といった批判が出てしまうこともあります。
研修は適正な内容、適正な難易度、適正な人数で実施しないと品質が下がるという点をご理解いただけますと幸いです。
未来マネジメントでは企画の際に上記のようなお話にも相談に乗らせていただいております。
お気軽にご相談ください。

 

このコラムを書いた人:

株式会社未来マネジメント 取締役 営業部長 日吉良介

研修会社、人材開発業界で15年以上にわたり営業、講師、コンテンツ開発に従事している。
研修企画者として「日本にはまだ数少ないプロのインストラクショナル・デザイナー」と呼ばれることを夢見て日々研修の企画に取り組んでいる。
自身の講師としての得意テーマは「営業研修」で、これまでに3,000人以上の営業職が研修を受講している。
趣味は読書、プラモデル制作、フットサル。

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