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組織開発とは何か?人材開発との関係とは?

企業の人材育成の専門用語で、よく使われるけどよく分からない言葉のひとつに「組織開発」があります。
今回は「組織開発」の概要を押さえながら、なぜ組織開発の概念が分かりにくいのかについて考察を行います。
尚、今回の内容は筆者の個人的な主張やものの見方も入っています。
また、人材育成、人材開発、能力開発、キャリア開発など企業の人材開発で使われる言葉は相互の関連性や区別が必ずしも明確ではありません。
その点についてはご了承いただけますと幸いです。

 

組織開発は人と集団の関係性の研究から生まれた

組織開発はODと略称されることが多く、英語ではOrganization Developmentと表記されます。
組織開発は1950年頃から欧米で研究されるようになりました。
アメリカで研究された「ラボラトリートレーニング」や「グループダイナミクス」といった、学校教育の成果や心理学の研究成果が持ち込まれて、企業教育の場面で発展的に活用されるようになりました。
ちなみに、グループダイナミックスは日本語で「組織力学」「集団力学」と訳されています。
元々は「人が集団に与える影響」と「人が集団から受ける影響」の結果、組織はどう動いていくのか、という研究でした。
組織開発はもともと応用学問的分野なので、色々なジャンルの研究結果を取り込んで発展してきました。
現在は行動科学が組織開発の大きな理論的背景となっています。

 

人の連携力で相乗効果を生み出すのが組織

アリストテレスの言葉に「全体は部分の総和に勝る」というものがあります。
また、ドラッカーの言葉に「組織の目的は凡人をして非凡なことをなさしめることである」というものがあります。
組織開発の根本的な思想は、これらの言葉に端的に表されています。
組織は人がうまく連携して働くことで、個々人では実現できないことを実現することができるのです。
この「うまく連携」というのがポイントで、うまくいっていない組織は雰囲気が悪くなっていたり、プロセス上で無理や特定の箇所に負荷があって問題が起こっていたり、連携がうまくいかないことでお互いに足を引っ張り合ったりして、時には「全体が部分の総和以下になる」こともあります。
端的に言うと、組織に属する人の連携力を高めて一段も二段も高い成果が出せる状態を創るのが「組織開発」です。

 

組織開発と個々人の能力開発は補完関係にある

企業教育の文脈で「組織開発」といわれる時には、「人材開発(個々人の能力開発)」との対比で使われることが多いようです。
「人材開発」が企業の人的資源の開発のことを指すのであれば、本来は「個々人の能力開発」も「組織開発」も両方とも「人材開発の一環」ということになります。
「人材開発」という言葉の使い分けにあいまいさがあるため、こうした混乱が起こっているようです。

そもそも学びの成果は、本人の受け止め方の他にも多くの変数に影響を受けるため、人材開発の意図や結果が「組織開発」なのか「個々人の能力開発」なのかが分かりにくいということも多く発生しています。
組織開発を意図して行っても結果として「個々人の能力開発」になることも、「個々人の能力開発」を意図して組織開発になることも、両方にとっていい結果になることもあり得るのです。
こうして考えると、両者を明確に線引きすると考えるよりも、お互いに補完関係にあると考え、相互にリンクするような運営を考えた方が成果に繋がりやすいようです。

 

組織開発の手段と特長

一般的に組織開発といえば下記のような手段が一般的です。

診断                           組織の状態/課題を発見するために行う
方針発表会                  組織の方向性を共有/浸透させるために行う
チームビルディング      メンバー間の連携や協力関係を強化するために行う
勉強会                        それぞれが持っているノウハウを共有する

組織開発の柱の一つであるチームビルディングは「組織を構成する人と人との信頼関係、相互作用といった関係性を対象にするもの」という捉え方もできます。
「チームビルディング」の構成要素としては、具体的には下記のようなものが挙げられます。

・メンバーの人的ネットワークの拡大、交流
・組織の方向性について相互に意見を出し合う
・組織や個々人の抱えている問題や取り巻く環境を理解する
・メンバーそれぞれが持っている考え方や組織の枠組み、組織力学の状況を理解する
・実活動の結果をメンバー皆で共有する

このように整理すると、社員旅行のような企業イベントは、表向きのテーマは福利厚生ですが裏のテーマとして組織開発の一環という意図も持っていると言えます。

組織開発は成果が目に見えにくいため「やる意味があるのか?」という批判的な意見が出やすい分野でもあります。
しかし、業績の良い企業は方針発表会を盛大に行いますし、勉強会のような機会、社員旅行のようなイベントを重要視する傾向があります。
人材開発同様、組織開発を行うから成果が上がるのか、成果が上がるから組織開発を行うことができるのかはきちんとした検証ができませんが、
組織開発についてもやった方が良いしやらないと成果が上がりにくくなるとまとめても問題なさそうです。

未来マネジメントでは組織開発においては新入社員/中途入社社員から経営層まで、豊富な実績があります。
特に「営業組織」や「支社、支店」単位での組織開発、ファミリートレーニングと呼ばれる手法には強みがあります。
テーマとしては「営業ノウハウの共有」「問題解決」や「顧客満足度向上」を得意分野としています。
もしもご検討中の方がいらっしゃいましたら遠慮なくお問い合わせください。

このコラムを書いた人:

株式会社未来マネジメント 取締役 営業部長 日吉良介
研修会社、人材開発業界で15年以上にわたり営業、講師、コンテンツ開発に従事している、あまり他に歩く人のいないキャリアの道を歩んでいるサラリーマン。
研修企画者として「日本にはまだ数少ないプロのインストラクショナル・デザイナー」と呼ばれることを夢見て日々研修の企画に取り組んでいる。
自身の講師としての得意テーマは「営業研修」で、これまでに3,000人以上の営業職が研修を受講している。趣味は読書、プラモデル制作、フットサル。

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