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9.マーケティング戦略立案における主要な考え方③

(3)ランチェスター戦略

ランチェスター戦略は、イギリスのエンジニア、フレデリック・ランチェスターが第1次世界大戦の際に提唱した数理モデルです。
兵力数と戦闘機や戦車などの武器の性能が戦闘力を決定づけるというもので、同じ武器なら勝敗は兵力数で決まることになります。
第2次世界大戦中、コロンビア大学の数学教授であるバーナード・クープマンらによって、ランチェスターの法則は軍事戦略モデルとして発展しました。

その後、販売競争に勝つための理論と実務に体系化され、世界で最も広く利用されている戦略のひとつになりました。弱者が強者に勝つための戦略方法です。

 

①ランチェスター戦略による強者と弱者

ランチェスター第一法則から弱者の戦略、第二法則から強者の戦略が導き出されました。
強者とは市場地位が1位のもの。ここではそれ以外は2位であっても弱者であると定義しています。市場地位ですから、地域・商品・流通(販路)・顧客の市場単位でとらえます。ですから単に企業規模が大きいものが強者とは限りません。市場ごとに弱者と強者の立場は入れ替わります。

このように細分化して捉える理由は、弱者と強者、この二つの立場のものの戦い方が全く異なるからです。すなわち弱者の基本戦略は差別化、強者の戦略は同質化(ミート戦略)です。そして弱者・強者にはそれぞれ5つの代表的な戦い方があり、これを5大戦法といいます。

 

②マーケットシェア理論

市場地位はマーケットシェアで判断します。
その基本は7つのシェアのシンボル目標数値です。
現在の自社のシェアはどの段階なのか、そして短期・中期・長期にはどこまで伸ばしていくのか、現状分析と目標設定に活用します。

シェアの差は下位に対してどこまでつけると安全圏なのか、上位との差をどこまでつめれば逆転可能になるのか、これを射程距離理論といいます。

顧客内における単品でのシェア争い、地域では何丁目単位の戦い、二社間競合の場合は一騎討ち型となるので3倍差、それ以外は確率戦型になるので√3倍差(約1.7倍差)が射程距離となります。これらは敵の3倍の力で戦えば必ず勝てる3:1(サンイチ)の法則から導き出されました。

 

③3つのグランドルール

販売目標にゴールを設定するなら、それは1位でかつ2位を射程距離圏外に引き離したダントツの1位(これをナンバーワンと呼ぶ)になること。
これがランチェスター戦略の結論で、第1のルールのナンバーワン主義です。

そのため弱者は事業領域を細分化し、勝ちやすい地域、流通(販路)、顧客、商品を設定し、そこに経営資源を重点投入します。
これを一点集中主義といい、第2のルールとなります。

第3のルールは「足下の敵(そっかのてき)」攻撃の原則です。
成熟市場において売上げを伸ばそうとするなら、それは競合他社から売上を奪うことに他なりません。それでは、誰から奪うのが望ましいのか。それは1ランク下のライバル(=足下の敵)です。
なぜなら、自社より強い敵と全面対決しては体力に劣る自社の方が不利だからです。狙うべきは勝ちやすい敵です。しかも1ランク下からシェアを奪えば、自社が伸びる上に敵が下がるから差が倍つくことになります。足下の敵を射程距離圏外にし、自社を安全圏におくこともできます。

 

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