HOME » 人財育成資料室 » クレーム解決塾 » Ⅰクレームと企業の対応姿勢~原則3
ある日の夜、閉店後のスーパーの事務室にお客様からクレームの電話がかかってきました。
事務員A
「店長! お客様から、オタクは消費期限の過ぎた塩辛を売っているのかとお怒りの電話です。店長に代われということですが、どういたしましょう?」
店長の対応1
「今私は手が離せない!クレーム担当はY課長の仕事だ。おーい! Y君、頼むよ」
店長の対応2
「よし、私が代わろう。お客様の言い分は?お客様のお名前は?」
さて、あなたが店長なら、どちらの対応を取りますか?
企業活動を長く行っていればクレームの発生は避けて通れません。逆に「我が社はクレームとは無縁です」などと涼しい顔をしている経営者がいたら眉ツバものと思って間違いないでしょう。もしかしたらクレームを発生させた担当者が上位者に報告できない風土のある会社ではないかと勘ぐりたくなります。あるいは、お客様への対応を一方的に突っぱねたり、無視したり、放置する経営方針の会社ではないかと疑念が生じます。
くどいようですが、クレーム対応は一つ間違えれば、「誠意のない会社」というレッテルを貼られ大事なお客様を失うことになります。
問題を大きくしないためには、組織全体でのクレームに対する取り組みが必要不可欠です。クレームを一担当者、一部署だけのものとせず、経営担当者自らが積極姿勢で臨むことが求められます。
経営担当者はクレーム報告を下位から受けたら、それをお客様からの「ありがたいお言葉」、「叱咤激励」と捉え、今後の経営方針に役立てることができます。
クレーム対応に対する経営方針の徹底は2つの利点をもたらします。
ひとつは、担当者の意識改革です。「会社がこう考えているのだから」と、担当者は主体的にスムースな初期対応を心がけ、早期の収束に努めるようになります。
次に、ファン客の増大です。「この会社は顧客のクレームを真っ正面に受け止めてくれる。これなら顧客の意見を生かして、商品力の強化やサービスの改善につなげてくれるだろう」と、当社へのお客様の満足度が今以上に高まりリピート客となってくれます。
このようにクレームは企業発展のために欠かせない苦い薬でもあります。経営担当者は「隗より始めよ」の気構えでクレーム対応に取り組んでほしいものです。
なお、「組織全体でのクレーム対応の取り組み」については、次のポイントで整理・構築してみるとよいでしょう。
5.担当者のクレーム対応のためのスタンスとスキル教育