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Ⅶ クレーム解決の成功のポイント・失敗のポイント

◆事例9 お客様の話を最後まで聴いて

○○合唱団の公演が終了した1時間後に、会場の△△文化ホールの事務所にお客様から電話が入ってきました。9月の下旬だというのに、まだまだ暑さが残るある日のことでした。

「係の人に再三伝えたのに対応してもらえませんでした。『非常に寒いので室温を上げて欲しい』といろいろな人に3回も言ったのに全く変化がなく、ぶるぶる震えながら見ていました。隣の席の方も、同じように感じていたようで、終了後に『寒かったですね』と話をしました。節電が叫ばれているこのご時世にこれほど寒いというのはおかしいと思いませんか。確か、室内温度は28度に設定するように指導があるはずなのに、あなたのところはそれを守らずにエネルギーを無駄遣いしているのは許せません。

もう一つあります。前列の人が度々前傾姿勢をとるのが気になって演奏に集中できませんでした。様子を見ていると盲導犬をいたわっているようで、そのために体を前に傾けていたようで…。一般席ではお互いのために良くないし、盲導犬にとってもかわいそうなので、もう少し席に配慮すべきではありませんか」

お客様の主張は10分近くに及びましたが、電話対応した五十嵐さんはお詫びの言葉を入れながら最後まで聴くことに徹しました。
そしてお客様の主張が一通り終わったところで、五十嵐さんは「この度はお客様のご要望にお応えすることができず申し訳ございませんでした。貴重なご意見をいただきましたので今後の改善に活かしていきたいと思っています」「今回ご指摘いただきました点につきましては事実を確認し、その結果をお客様にお伝えさせていただきます。申し訳ございませんがお客様のお名前と連絡先をお教えいただけませんでしょうか」とお願いしました。
お客様は、「そこまでしていただかなくて結構です。私が申しあげたことを今後の改善に活かしていただければ大丈夫です」と電話を切られたのでした。

電話の後、五十嵐さんが現場に確認すると「利用者様から暑いので温度を下げて欲しいという要望はあったが、寒いという話は事務所に届いていない」「この日の外気温は23度であったため22度の設定していた」ということでした。

 

成功のポイント

10分近く一方的に話すお客様の話を、途中で反論することなく、また、お客様に共感するお詫びの言葉を挟みながら最後まで聴いたことが、その場でクレームの収束を図れた最大のポイントと言っていいでしょう。

お客様の主張に対して思わず口を挟みたくなる場面は多々ありますが、この対応がお客様には「言い訳している」「私の意見を否定している」と映ってしまいます。そこを回避することができた五十嵐さん対応はほめるに値するでしょう。

 

まとめ:聴き役に徹して事実をつかむ

事実確認を誤ると、対策も間違えてしまい、更に複雑な問題に発展させてしまいます。
お詫びの言葉を交えながら徹底して「聴き役」に回る必要があります。そうしてお客様の言い分を聴いているうちに、クレームの実態がみえてきます。

主張しているお客様が「自分の話をよく聴いてくれている」と感じれば、よく話してもらえます。よく話してもらえるということは、お客様が抱えている問題(不満)をよりよくつかむことができます。

「聴き方」としては「あいづち+お詫びの言葉」をセットで使うことが有効です。

①共感あいづち+お詫び  
 「○○が不満だ!」
 「お気持ちよくわかります。ご心配をおかけして申し訳ございません」
 
②単純あいづち+お詫び 
 「○○は違うんじゃないの?」
 「はい。誠に申し訳ございません」

③反復あいづち+お詫び  
 「3回やってもダメなんだよ!!」
 「3回やってもですか。誠に申し訳ございません」

④要約あいづち+お詫び 
 「○○が○○だし、△△は△△じゃないか!しかも□□のことも気になる…」 
 「~ということですね。ご迷惑をおかけし申し訳ございません」

 

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