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6.管理職の部下育成①(部下育成の二つの方向性)

部下育成となると、どうしても「新人や若手の戦力化のための育成」という切り口が中心になりますが、ここではもう少し視野を広げて部下育成を考えてみます。

 

まずは、部下の育成を考える際には「二つの方向性で考えなければならない」ということについてです。

方向性のひとつは担当業務を遂行するために必要な知識、スキル、あるいは資格です。
そして二つ目は、組織やチームの一員としての立場や役割についてです。
図示すると以下のようになります。

 

 

縦軸、横軸の基本は時間になります。部下のキャリアといってもいいでしょう。一般的には経験年数です。
横軸は、例えば新入社員を起点とすると、入社○○年で○〇のこと(初級的内容)を習得し、それを実務の場で活かし、期待成果につなげてもらう。そして次の〇〇年で○〇のこと(中級的内容)の習得と期待成果へ、さらに次の〇〇年で○〇のこと(上級的内容)の習得と期待成果へ、と業務遂行力を高めていくための育成が必要になっていきます。

縦軸は組織やチームの一員としての働き(機能)になります。基本的に言えば、初級段階においてはメンバーシップの働きを、中級的段階においてはフォロワーシップの発揮を、そして上級的段階ではリーダーシップの発揮が求められていると考えられます。

上記の時間軸は、組織や職種によって変わってきます。
よく3年で一人前になどと言われますが、この一人前の在り方(定義)もやはり組織や職種によって変わってきます。
とすると必要なことは、上記モデルに照らした自組織の、自職種の中身(具体的なスキルや具体的な役回り)が明確になっていることです。

 

以上の観点からみると、多くの組織では二つの問題が見られます。横軸に偏った育成では、Aの状況を生んでしまうということです。これはよくあります。「7年のキャリアがあって、自分の担当業務をこなす知識やスキルはあるのだが、他メンバーとの協調性が低く、マイペース型である。他のメンバーを引っ張っていくことができないのでリーダー役割を任せることができない」というパターンです。

Bのパターンは、本来はCの位置づけにあって欲しいキャリアなのに、「知識やスキルの不足が壁となって、リーダーシップを発揮しなければならない場面において、その発揮ができない」というケースです。知識不足やスキル不足が他のメンバーからの期待感や信頼感をつくることができないのが一番の理由です。

Dは幼弱性から脱却できていないパターンです。「4年のキャリアがあるにもかかわらず、知識やスキルが未熟なままで、なんとなく立ち回っている。フォロワーシップの発揮もままならず、周囲からも見抜かれてしまっている」というケースです。

 

ここまで見てきて分かるように部下の育成においては、モデルの両軸を注視する必要があります。そして、両軸における対象部下の現状と育成課題を明確にして、本人と共有化を図ることが欠かせません。まずは縦軸課題の強化なのか、横軸課題の強化なのかを。

モデルの縦軸である「組織やチームの一員としての立場・役割」面の育成を図っていく上で重要なテーマがあります。「権限の委譲」です。

次回はこの権限の委譲についてみていきます。

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