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10.管理職として機能しているか①

管理職としての役割は認識していても、成果を出すための「働き」ができていなければ、管理職としての責任を果たすことはできません。
「役割認識」と「機能する」ことはイコールではないのです。
管理職として機能するための5つの重点テーマについてみていきましょう。

 

1.実態掌握機能

「戦うべきと戦うべからざるとを知る者は勝つ。衆寡の用を識る者は勝つ。上下の欲を同じくする者は勝つ。虞を以て不虞を待つ者は勝つ。…」。
孫子の言にならえば、「よく識る者は、よく戦う」ということができます。
管理職のマネジメントに照らしてみますと、実態が手のひらに乗っていなければ、戦略、計画、読み(予測)、判断、指示など、すべての面にわたってピンボケ状態を発生させてしまいます。
今現在も経験と勘による判断が求められることは意外に多くあります。客観的に合理的にだけで上手くいかない現実があることは多くの管理職が経験してきていることでしょう。実は、本物の勘とは豊富なデータの裏づけを基にして養われてきたものであるということを忘れてはなりません。
残念なことに、今現在も、「部下の目標の進捗状況がよく分からない」「業務遂行の流れやルールを正しく理解していない」「今部下が何に取り組んでいるのかよくわからない」という管理職がいるのです。これでは「いい仕事をさせる」ための指揮力の発揮などできようもありません。

 

実態掌握の重要ポイントとして3つのことは押さえておいて欲しいものです。

①「数字」で把握する

営業職に代表されるように売上げ目標値や契約台数目標値などは比較的明確化されていますが、管理部門のように目標値化しにくい職種においては今も曖昧なところが多くあります。それをそのままにしておかないで測定できる目標値(目標のレベル化)を明確にする取り組みが欠かせないでしょう。測定可能な目標レベルの具体化は決して困難なことではありません。(このことは目標管理制度が上手く運用できていない重大要因の一つにもなっています)

②「動き」を把握する

動きですから、行動の量と質の両面で把握すると考えるといいでしょう。
営業ですと訪問件数や面談件数、商談時間や提案件数などがこれに入ります。管理部門ですと、仕事の難易度、成果を出すのに要する時間やミスの発生率などで測定することができます。

③「感情」を把握する

端的に言えばその仕事に対する意欲は高いか低いかということです。感情を把握するには、観察に加えてコミュニケーションがやはり重要となります。近年はハラスメントの問題もあって、感情面にまで言及することに躊躇するというケースも多く見られますが、実態把握のポイントとしては外せません。
組織的にみればストレスチェックやモラールサーベイ、ES調査の活用などが考えられますが、管理職の立場からみれば一人ひとりに焦点を当てていかなければなければなりませんので、マネジメント機能の1テーマとしてとらえておく必要があります。

 

以上、3つのポイントを見てきましたが、部下に良い仕事をさせるためにはこの3つは密接に絡み合っているという理解が必要です。

倒産した会社の立て直しに入った営業本部長が、各エリアの責任者とメンバーの感情をつかみ前向きにさせるために、半年かけてノミュニケーションに取り組んだという実例があります。その行動が、本部長は本気で自分たちの気持ちや考え方を聞いてくれる、この本部長となら再建できるという認識につながり、その後の再建に向けた活動を協力して進めることができました。もし、感情を把握するということに重点を置かず、数字の管理、行動の管理重視型でマネジメントを進めていたとしたら、果たしてうまくいったでしょうか。

目先の短期業績を追求する組織に多いのが、「数字」の把握を中心にしてマネジメントをしている(?)スタイルです。「契約がとれるまで帰ってくるな!」はもはや問題発言ですが、今もこうした組織はかなりあります。そうして発生しているのが「仕事をしている振りをする」行動であり、「いつ辞めようかを考える」感情なのです。

 

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