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ゆるブラック企業は最近になって注目されるようになった言葉で「残業もなく、仕事もきつくないが仕事のスキルやキャリアが身につかない、やりがいもない企業」とされている。
ブラック企業のように長時間労働や残業、過酷なノルマや強いストレスといったものがある訳ではないが、ブラック企業だけでなくゆるブラック企業への就職も若手社員からは「そういう環境が良いのかどうか」と議論を呼んでいるという。
特に「若いうちから成長したい」という考えを持っている若手社員からは「成長に繋がらない」「キャリアにならない」という理由で避けられている。
ゆるブラック企業という言葉はオープンワーク株式会社が2019年に当時Vorkers(現:Open Work)という転職者/就職者向けの企業口コミサイト内にある「働きがい研究所」内のレポートで使用されたのが大きく広がったきっかけとする意見が多い。
ネット上では以前からよく使われていて、議論されていた言葉だという意見も多数存在するため誰が言いだしたのかははっきり分かっていない。
「ゆるブラック」という考え方が出てきた背景には「ブラック企業というレッテルを貼られたくない」という企業側の考えがあるという指摘がある。また、「叱るとハラスメントと言われてしまう」と考えて、部下に厳しい指導をしにくくなった上司が増えた。その反動として「ゆるい職場」が増えてしまい、こうした現象が見られるようになったとする意見もある。
さらに、「若いうちにキャリアを積まないと将来が大変だ」「早く成長して何があっても大丈夫な自分を作らないとまずい」とする「早期キャリア形成に対する強迫観念」「成長への強迫観念」とでもいうべき考えが若者の間に広く広まった結果であるという分析もある。
「ゆるブラック企業」の中には以前はホワイト企業と呼ばれていたであろう企業も少なくない。
キャリア形成もトータル・リワードの一部だとすれば、今後日本企業はどんな場を働く人に提供していくべきか、という大きな問いに結び付けて考えることも可能である。
人材紹介系の企業が「その会社のゆるい仕事じゃキャリアにならないから転職するべきですよ」と転職を薦めるための単なる流行語で終わるのか、それとも日本人の働き方についてのより本質的な議論の呼び水となるのか、今後どんな意見が出てくるのか期待されるキーワードである。