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【働かないおじさん/おばさん問題】

「働かないおじさん/おばさん問題」は、周囲からの期待に対して本人のパフォーマンスがついていかない状況の中高年のことを問題として捉えている言葉のこと。
基本的に中高年は若い世代よりも給与が高いので、そうした人の生産性が低いと組織に与える悪影響が大きいとされている。
経営コンサルティング/研修会社の株式会社識学の調査によると、会社に働かないおじさんがいると答えた人は全体の49%いて、その9割以上が周囲に悪影響を与えているという調査結果が出たという。

「働かないおじさん/おばさん問題」は2010年代に入ってからの流行語とされている。
人事コンサルタント/研修講師の難波猛氏をはじめ、ビジネス書のタイトルになったり、ニュースで取り上げられたりしているので一般にも浸透してきている言葉かもしれない。

出所ははっきりしないが「シャーク理論」と呼ばれる言葉がある。
折れ線グラフで横軸を人の年齢、縦軸を個人のパフォーマンス、生産性をグラフにしたものと賃金カーブをグラフにしたものを重ねるとピークがずれてサメの背びれが二つ並んでいるような形になることからそう命名されたらしい。
これは「パフォーマンスのピーク」と「賃金のピーク」は一般的にずれるもの、という知見なのだが、時々、若手が「自分よりも働いていない人が高い給料をもらっていて納得できない」という状況に対して「実は一般的にそういうものなんだよ」「あなたも今後給料は高くなっていくし、歳を取ったらそうなるかもしれないんだよ」となだめる文脈で説明するのに用いられていた。
現在、終身雇用制が崩壊したこと等、いくつかの要因でパフォーマンスピークと賃金ピークがある程度一致することが求められるようになってきて「若者をなだめるメッセージ」としては説得力を失っている。

終身雇用制や年功序列は現在、かつての日本企業の問題の権化のように言われることが多いが、企業組織は「人生を共に歩む民族/部族的コミュニティの要素を持つもの」として解釈できる要素もある。
この問題を突き詰めると、今後の日本社会として「貢献してきた人に冷たい社会や組織は良いのか悪いのか」といったモラル、道徳、社会制度と絡めて考えなければならない問題になり、企業は「パフォーマンスのピーク」と「賃金のピーク」を一致させることが本当に現実的かという疑問も生まれてくる。
「働かないおじさん/おばさん問題」は個々人の問題ではなく、これからの日本社会の構造をどう考えていくかについての問題なのかもしれない。

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