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【ヒーローズ・ジャーニー(心理学用語)】

ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)は、多くの神話に見られる「英雄の冒険譚」を物語の祖型、アーキタイプ(=集合的無意識の中に見いだされる人類共通の無意識イメージ)として、人の心に響くコンテンツを作る際の一つの型として有効とする考え方である。
アメリカの神話学者ジョセフ=キャンベルは世界中の神話を比較検討する中で、多くのパターンが似ていることから「モノミス理論(=単一起源神話理論)」という仮説を提唱した。
「千の顔を持つ英雄」という書籍で、神話の中でも特に英雄譚のパターンは世界共通であることを説いた。
ジョセフ=キャンベルは、物語、昔話、神話のパターンが似ているのは人間の潜在意識的な部分はあらゆる文明や文化を横断して共通しており、似通ったものがあるためだとした。
この発想の根本はユング由来の心理学の影響が大きい。
キャンベルの書籍の影響を受けたジョージ・ルーカスがスターウォーズを作る際に参考にしたとされるエピソードが有名である。
ビジネスではストーリーテリングを構成する要素の一つとして紹介されることが多い。
また、カウンセリングやセラピー、NLP、キャリア研修の文脈で紹介されることも多い。
NLPの技法、ワークとしてのヒーローズ・ジャーニーはロバート・ディルツとエリクソン催眠の専門家スティーブ・ギリガンの共同開発とされている。

ヒーローズ・ジャーニーは下記のような要素で構成されているとされる。
1、Calling「天命」  主人公に天命が下り、自分自身のミッションを自覚する
2、Commitment「旅の始まり」 旅に出る際に葛藤が生じるが決断を下して旅立つ
3、Threshold「境界線」 最初の試練を乗り越える
4、Guardians「メンター」 サポーターや師匠に出会う
5、Demon「悪魔」 最大の敵、障壁が現れる
6、Transformation「変容」 悪魔、または自分の中の悪を打ち払い、主人公は英雄に変容する
7、Complete the task「課題完了」 課せられたミッションを終え、これまでの体験や意味を整理する
8、Return home「故郷へ帰る」 旅を終えて故郷へ帰る

スターウォーズだけでなく、世の中の多くのコンテンツが上記のプロットに当てはまるのはそれだけ物語を作る上で使いやすいもので有名だからだと考えられる。
映画、漫画、小説、ゲーム業界への影響が非常に大きい一方で、ジョセフ=キャンベルには神話を「(悪い意味で)自己啓発的な心理学」「成功哲学」的な解釈をしすぎているとして別の派閥の神話学者からは批判的な意見が出ることも少なくない。
また、モノミス仮説についても神話学界隈では主流ではなく、創作の世界でヒーローズ・ジャーニーが独り歩きしているのが実態のようだ。
同じパターンで話を作ると陳腐、マンネリになってしまうので、ヒーローズ・ジャーニー以外のストーリーテリングの「型」が出てくることも期待されている。

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