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【グラスシーリング】

グラスはガラス、シーリングは天井を意味する言葉で「ガラスの天井」を意味する。
転じて企業組織論や人事の世界では性別、出自等を理由に昇格昇進や人材抜擢の場面で見えない限界に阻まれている状況を「ガラスの見えない天井に阻まれている」状況に仮託して説明されている比喩表現である。

元々はアメリカで女性の上級管理職昇進が阻まれている状況を説明するために使われた。
1986年のウォールストリートジャーナルにおいて、キャロル・ヘイモビッツとティモシー・シェルハードによって使用されたのが初出であるとされている。
その後1991年にアメリカ連邦政府労働省が女性管理職の見えない昇進障害として言葉を使用したことで広く浸透するようになった。

ちなみに日本での女性管理職の比率は2023年時点で14.8%となっている。
この数字はアメリカで40.7%、スウェーデンで40.2%、イギリスで36.8%、フランスで34.6%、ドイツで29.4%という数字と比較して非常遅れている状況にある。
現在、日本政府は、2020年代に30%を目標値として各種認定制度の整備などを進めているが、その進捗状況は芳しくない。
その背景としては、これまでの日本企業が進めてきた新卒一括採用や終身雇用制、年功序列や定期昇給等の各種採用/育成制度の結果、「多様性の不在=均一なステータスを持つ構成メンバーで組織ができている」「長く働かないと給料が上がらない」等の負の側面が非常に大きな影響を及ぼしているとされている。

言葉自体の元々の出自から女性の管理職昇進について使われることが多いが、実はグラスシーリングはそれ以外のところにも色々な形で存在する。
例えば「特定の人種しか管理職につけない」「プロパー社員でないとほとんど昇格できない」「本社からの出向者でないと部長以上にはほぼ上がれない」といったものなどが挙げられる。
また、アメリカのコンサルティング会社マッキンゼーと女性活躍推進団体の調査報告では、そもそも女性の昇進については「ガラスの天井」ではなく「壊れたはしご」であると説明している。
※限界が決まっているのではなく一段目から差がついているのでなかなか上に行けない、という意味とのこと

どちらにしても現在のようにダイバーシティ・インクルージョン推進が拡がる前からの社会制度や風土は今でも根強い影響力を持っている。
それらは少なくとも昔は主流派で合理的であると考えられていた、という認識を前提にしなければなかなか現実的なアクションができない問題のようである。

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