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【ゼークトの組織論】

ゼークトの組織論とは、ヴァイマール共和国の軍人/政治家であるハンス・フォン・ゼークト(本名ヨハネス・フリードリヒ・レオポルト・フォン・ゼークト)が語ったとされる組織に関する理論である。
ちなみにゼークトの組織論自体は都市伝説や軍人ジョークのようなものの類だそうで、元ネタは同じくヴァイマール共和国軍人であるクルト・フォン・ハンマーシュタイン・エクヴォルトが語った将校の4分類であるとされる。
将校の4分類、またはゼークトの組織論の内容は下記のようなものである。

人間の資質は以下の4つの要素で分類できる。その4つの要素とは「有能」「無能」「勤勉」「怠け者」である。軍人としては下記のように整理できる。

有能で怠け者なタイプは、人を使って判断、指示、命令を行い神輿に担ぎ上げられる指揮官に向いている。

有能で勤勉なタイプは、有能な上に自分が動けるので参謀や政策秘書として他の人をサポートするのに向いている。

無能で怠け者なタイプは、自分で動いたり判断したりはできないが職務を与えれば忠実に行うので下級将校か兵卒が務まる。

問題は無能な働き者で、間違えた判断で勝手に動いてしまうので組織には不要である。責任ある立場につかせてはならないとされる。

ゼークトの組織論はそもそも都市伝説、軍人ジョークの類であってだれかが真面目に研究した結果ではない。
また、有能/無能の定義、勤勉/怠け者の定義がない、またその検討基準に軸がない、無能から有能に成長することに対する見解がない等、突っ込みどころも少なくない。
それにも関わらずこれだけ人気があるのは、なんとなく納得感があるからに他ならない。

また、下記のような原因も背景に存在すると言われている。
・人間の大多数は無能な怠け者である
・しかし、彼らからすると有能、無能に関わらず勤勉な人の存在は劣等感が刺激されるので不快である。
・その点、ゼークトの組織論では「無能な怠け者の方が無能な働き者よりもマシ」という結論なので、大多数の人の自己正当化欲求が満たされるのである

ゼークトの組織論は2020年代に入ってからも取り上げられることが多い概念である。
また、少し前に『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む全ての人へ』(北野唯我著)という本が話題になったが、ゼークトの組織論はその考え方にも通じるところがあるようだ。
ドラッカーが「組織は凡人をして非凡なことをさせるためにあるものである」と説いたのと比較すると、特に「無能で勤勉」のところに根本の考え方に違いがあるようで非常に興味深い考え方である。

 

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