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【マインドフルネス】

マインドフルネス(mindfulness)は、今現在起こっていることに対して注意を向ける心理的なプロセスであり、主に瞑想を通して行われるもの。
元々は上座部仏教のサティ(念と訳される)への訳語としてmindfulnessを当てたことから始まっている。

仏教では涅槃に至るための正しい徳目を八正道という呼び名で挙げていて、その実践の方法として瞑想が存在する。
ちなみに八正道は正見(正しく見る)、正思惟(正しく考えて判断する)、正語(嘘や無駄話を避ける)、正業(殺生や盗み等を避ける)、正命(正しい生業を行う)、正精進(不善を過去、未来において起こさないようにする)、正念(常に今現在の状況に気づく)、正定(正しい集中力を持つ)の八つである。
仏教から超自然的要素を抜いて、哲学とその実践手法に絞って捉えなおしたものが西洋仏教や仏教心理学と呼ばれるものの中核になっている。
マインドフルネスはその西洋仏教、仏教心理学の成果物と位置付けることができる。

1979年、マサチューセッツ大学医学大学院のジョン・カバット・ジン氏が医療や個人の悩みの解決のために瞑想を取り入れ、マインドフルネスストレス低減法を提唱したのが始まりである。
その後、2000年代に入ってアメリカ西海岸のIT系企業でビジネススキルとして注目を集め、独自の発展を遂げることになった。
その裏側では行動経済学の浸透もあって「人間は正しく物事を判断できない生き物だ」という認識が世の中に拡がり、その対応策の位置づけでマインドフルネスが注目された、という解説も可能かもしれない。

日本では古くからお寺で座禅を組む企業研修などが行われていた上に森田療法、内観法といった修行法が企業研修でも行われていたため、瞑想をビジネススキルとして理解する文化的下地は存在していた。
しかし、ヨガの修行法を取り入れていたオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こし、事件以降は宗教の修行法を企業の研修に取り入れることに対してネガティブな印象を持つ人が激増して引き潮になった。
結果、日本でのマインドフルネスの流行はアメリカからの逆輸入式である。

マインドフルネスは企業と個人の関係性が変化する中で精神的なスキルとして注目を集めているが、その一方で「本来は宗教の行は別の目的のためのものなのに、企業研修でインスタントな目的のために行うのはおかしい」といった批判も存在する。
マインドフルネスが一時の流行で終わるのか、それともビジネススキルとして定着するのか、またはより大きな流行の波を生み出すのか、これからも注目すべきテーマと言える。

 

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