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【フレデリック・テイラー(人名)】

アメリカの経営コンサルタント。科学的管理技法の発案者として有名。
作業分割と時間分析を手法として確立し、作業標準化や道具選定の考え方、タスク管理、職能組織等、現在の科学的管理技法の元祖である。
また、広義の経営学や経営コンサルタントの元祖とする意見も多い。

フレデリック・テイラーは1856年にフィラデルフィアの裕福な弁護士の家庭に生まれた。
本人も弁護士を目指してハーバード大学に入学するが、目の病気で大学を辞め、弁護士の道を断念することになった。
その後19歳の時にポンプ工場で現場作業者、22歳の時にミッドベール・スチールで機械工として働くことになった。
ミッドベール・スチール社では工作機械の改良や工程の改善に取り組み、当時の生産現場に蔓延していた組織的怠業を打破して目覚ましい成果を挙げた。
尚、この時期に後の科学的管理技法として体系化される取り組みを行い、ガント等の弟子となる人物と知り合っている。
その後ベスレヘム・スチールに移って作業の標準化や計画に携わるが、1901年に退職。
以降経営コンサルタントとして多くの工場の支援を行い、また管理技法の研究を深めていくことになる。

テイラーが登場する前の一般的なアメリカ企業の経営状態は科学的とは言えない状況で、またそのしわ寄せが労働者に行ってしまったり、労働者は労働者で組織的怠業が横行していた。
そういった状況を打破したというのがテイラーの大きな功績であり、この点において経営学の元祖とされる。
一方、テイラーの手法は当時現場からの反発が強かったらしい。
テイラーは給与に関しては「科学的管理技法の目的は労使の最大繁栄にある」「上がった生産性を従業員に還元する」という思想の持ち主だったことからも分かるように、決して非人道的な人だったわけではない。
しかし、彼の思想に賛同する経営者ばかりではなかったことや、テイラー主義の拡大の中で「行き過ぎた職場の管理は標準値や平均値に人間を押し込めるのはドライで非人道的なやり方」という評価をされてしまい、労働者(特に労働組合)からは科学的管理技法に対する批判の声は少なくなかったようだ。
晩年は科学的管理技法に反対する声に反論し、科学的管理技法を擁護し続けた。

標準化、平均値を基本とした大量生産時代を下支えする理論を打ち出した人物であり、物理的にも思想的にもその後の社会に与えた影響は非常に大きい。
現代社会は「個性の時代」といわれるが、今でも学校教育や企業の人材育成の文脈の中では「標準化重視」「(結果として)標準、平均重視」の考え方が色濃く残っていて、「出る杭」を嫌う傾向がある。
いまだに産業界、教育、社会の在り方に強い影響を残している重要な人物といえるだろう。

三谷宏治「経営戦略全史」より引用 筆者が一部修正

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