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【エビングハウスの忘却曲線】

エビングハウスの忘却曲線は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが1880年から行った記憶に関する実験の分析結果から得られた、記憶に関する知見のことを言う。
エビングハウスは錯視の研究でも有名な研究結果(エビングハウス錯視、大きな円に囲まれた円と小さな円に囲まれた円では小さな円に囲まれたものの方が大きく見える、というもの)を残していて、記憶と認識に関する心理学のパイオニア的な学者の一人と位置付けられる。

エビングハウスは、自分で無意味な音節(例:pek等)を記憶し、その節約率を調べ、この曲線を導いた。
ちなみに節約率とは、同じ内容を一から学習しなおすのに対してどれだけ時間や回数を節約できたかを表すものである。
例えばpekという単語を覚えるのに10分かかり、その20分後に覚えなおすのに5分かかったとする。
最初にかかった10分に対して、覚えなおすのに5分かかっているので、5÷10=0.5ということで節約率は50%と表現される。
この実験の結果は下記のようなグラフで表現される。

時々エビングハウスの忘却曲線を記憶量の減衰として表現しているものが見られるが、注意すべきなのは、上記の数字は「記憶量」ではない、ということである。

エビングハウスは上記の実験結果をもって1日の間に急激な忘却が起こり、その後は緩やかになると結論づけた。
ただし、この実験結果については

・無意味な音節の単語を対象としたものでエピソード記憶や体系だった学問についての記憶ではないこと

・完全忘却と「再認識可能な忘却」を分けて考えた実験ではないこと

といった反対意見や批判の意見が寄せられている。

エビングハウスの忘却曲線は例えば学習塾の広告等でも見かけられるが、誤用や拡大解釈されたものも多く、正しい実験結果が説明されているものはそれほど多くない。
そういう点ではメラビアンの法則等と同じように、実験内容に対する把握や確認があやふやなまま根拠として都合よく利用されているものの一つではある。
しかしその意図するところは「早めの復習が大事」ということなので、誤用の影響は比較的少ないのかもしれない。
こうしたところも「結局見た目のマナーは大事」という結果になるメラビアンの法則と似ている心理学用語と言えるだろう。

企業で行う教育(特にスキル的なものや知識的なもの)においても、早めに復習や実践の機会、振り返りの機会やテスト等を行うことが記憶の定着には重要である。
そうした意味で研修のプランニング、運営において非常に大きな影響を与えている考え方の一つと位置付けられている。

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