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【キャリア・オーナーシップ】

キャリア・オーナーシップとは言葉の定義でいえば「キャリアのオーナーとして振る舞うこと」。
企業で働く人は自分自身のキャリアに対してオーナーである姿勢が求められる、というニュアンスの言葉である。

日本でキャリア・オーナーシップという概念が使われるようになったのは2000年前後からのことと思われる。
2000年代よりも前の一般的な日本企業はキャリアの決定権について本人の希望よりも会社が握っている部分が強かった。
また、かつての日本企業は定期的に異動する慣習を持っている企業が多く、また組織の人員構成力学の点からも本人のやりたいことよりもトップダウンの会社の決定がキャリアに大きな影響を与える環境だったのである。
終身雇用制が支配的で強い存在感を持っていたため、キャリアの決定権が自分に無いことに不満を持っている社員はそれほど目立たなかった(不満を持っていても言える環境ではなかった)ため、かつての日本企業においてはキャリアオーナーシップのような考え方は当時の日本企業内では受け入れにくく、認知も薄かった。
その後終身雇用制の崩壊や自己責任論の変化、採用の変化や企業の寿命よりも個人の寿命の方が長いというデータが広く浸透してきた結果、キャリア論の中核として重要な概念と認識されるようになった。

キャリアに対して自分自身がオーナーとなり自分自身の能力開発や「活かし方」を主体的に考える、という考え方自体は働く本人のモチベーションの観点からも否定するべきものではない。
しかし、まだ日本の産業教育、学校教育の制度や雇用環境も働く本人のキャリア・オーナーシップで個々人がキャリア開発をするところまで制度が整っていないのが現状である。
例えば学歴という観点では「何を学んできたのか」よりも「どこの学校を出たのか」の方が評価される。
また、「どういう能力を持っているのか」については受験に関連する科目の重要性が高く、学校の勉強が「社会に出て活躍するため」でなく「受験に受かるため」のものになってしまっている。
学校で学んだことが社会で活かせる環境にない上に評価される幅も高さも硬直的になってしまっているのである。

今後、キャリアオーナーシップを本気で「社会人の基本の考え方」としていくのであれば、ジョブ型採用等とともに制度面での整備とそれに伴った教育が行われていくことが期待されている。
「日本企業は転換点を迎えている」と語る著名人は多いが、実は企業を大きく変革しようとするならば社会慣習も変えていかなければならないのである。

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