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【インセンティブ】

Incentiveは日本語で誘因や動機と翻訳される。
心理学では「動因(Drive)―誘因(Incentive)理論」と呼ばれるものがある。
車に例えるならば「自動車=エンジンを搭載して自分自身のエネルギーで動く」ものと「他動車=乳母車や馬車などのように外部の運動、他からの働きかけによって動く」ものに分けられるとするものである。
その上で動因(Drive)は自動車を動かす力、内発的なエネルギーであり、誘因(Incentive)は他動車を動かす力、外部からの刺激策というように説明される。

誘因は必ずしもポジティブなもの(頑張れば給料が上がる、休みがもらえるといった種類のもの)である必要はなく、「ネガティブな誘因(例えば落第を避けたいので講義に出席する)」であっても機能する。
「動因(Drive)―誘因(Incentive)理論」はフロイトに由来する「人間は快を追求し、不快を回避する」という考え方を発展的に継承したもので、学校教育や経営学を中心に熱心な研究がなされてきた。
その結果「動因(Drive)」の方が「誘因(Incentive)」よりも長期的に作用する、「誘因(Incentive)」が効果を上げるかどうかは個々人の志向性や特徴の影響を受けるといった知見が得られている。
例えば日本人は、一般的に直接給与を上げるよりも福利厚生を充実したほうが誘因効果は高い、と言われている。

人事制度の文脈では、個々人のモチベーションを刺激する策のことも含めてインセンティブと呼ばれる。
例えば目標達成の度合いに合わせて報酬が上がるのが代表的である。
報酬制度でインセンティブを導入する際は「目標達成に向けて個々人の意欲の向上が見込める」というメリットが語られる一方で、「指標によっては不公平感や個人主義が高まり、チーム内で不平等感や不協和音が広がることがある」「数字へのプレッシャーがかかるようになる」「長期的な視野が欠落する」といったデメリットも多くの組織で確認されている。
「とりあえずお金を払えばやる気が出る→成果が上がる」というほど人間は単純な生き物ではなく、経営はそんなに単純なものではない、ということだろう。

インセンティブだけでいつまでも成果を牽引することができないのであれば、組織の上に立つ人はどこかのタイミングで動因にメスを入れることも視野に入れて対策を検討する必要がある。
インセンティブは営業組織ではよく聞く話だが、こうした意味でも取扱注意の施策と言える。

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