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【マシュマロ・テスト】

マシュマロ・テストはスタンフォード大学の心理学者ミッシェル・ウォルターが1960年~1970年に行った4歳前後の幼児を対象にした心理学実験である。
実験内容としては

・実験者がマシュマロやクッキーなどのお菓子を一つ用意する
・被験者の幼児にお菓子をあげる。その後、観察者の大人は離席するが、戻ってくるまでそのお菓子を食べないで我慢出来たらもう一つあげるが、我慢できなかったらもう一つはない、ということを伝える
・15分間被験者の様子を観察する

実験の結果、だいたい1/3の幼児が15分間我慢して二つ目のお菓子をもらったという。

この実験はその後十数年にわたり追跡調査を行った結果、発表された分析によって非常に有名になった。
子供の頃にマシュマロを我慢できた子供は

・喫煙やドラッグなどの不良行動/悪習慣を身につける可能性が低い
・修学年数が長い
・社会的地位が高い

という結果が出たため「人生で成功するのに重要なのは意志の力、集中力、欲求や願望を押さえる自制心である」と結論付けられた。
2010年頃に行われた大脳の調査の結果、集中力に関係する部位にも重要な差異が発見され、結果スタンフォード大学では「人間行動に関する、最も成功した実験のうちの1つ」と評価された。
このようにマシュマロ・テストは心理学実験の中でも高い評価を得ていたのだが、再現実験が頻繁に行われるようになった結果、「実験結果が状況によって安定しない」という批判が徐々にされるようになってきた。
その後、2018年に子供の成育環境も視野に入れた複合的な実験が行われた結果、追跡調査の結果に重大な影響を与えるのは子供の集中力以上に「子供の経済的/教育的環境」であると結論付けられた。
子供の成長に重大な影響を与えたのは「二個目のマシュマロを得られる意志の力、集中力や自制心」ではなく子供の経済環境だった、というある意味非常に現実的な分析結果となった。
もしかしたら裕福な家庭の方が「マシュマロを『今』食べることに対する飢餓感」がなく、そんな一面も実験結果に影響していたのかもしれない。

マシュマロ・テストの教訓だった「成功に重要なのは集中力や自制心」という、経済的成功を個人の素質に還元する考え方は自己責任論と非常に相性が良かった。
しかし現在、自己責任論は経済格差やメリトクラシーへの批判論の拡大と共に退潮傾向にあり、「自己責任や努力よりも親ガチャの方が人生に与える影響は大きい」という主張も目立つようになってきている。
マシュマロ・テストの評価や影響力はメリトクラシー論や自己責任論に同期しているようで「心理学実験と世論の関係性」を考える上で非常に面白いサンプルといえる。

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