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アルムナイ採用の浸透と発展の結果、企業側が採用候補者のプール施策として、また社外にいて比較的心の距離が近いインフルエンサーの囲い込み活動として、企業が退職した卒業生のネットワークを同窓会のように管理する仕組みのこと。
※アルムナイ採用=企業を退職した人を再度雇用する採用のやり方のこと
※今回の内容は以前のコラム「アルムナイ採用」「オフ・ボーディング」の内容を踏まえて書かれています。
以前のコラムもご参考にしていただければ幸いです。
アルムナイ・ネットワークはマイクロソフトやアクセンチュア等の外資系企業で先駆的に行われていたが、その後多くの日本企業に浸透していった。
尚、アクセンチュアのアルムナイ・ネットワークには30万人を超える人が在籍しているという。
現在、日本郵政、ニトリ、電通、富士通、ヤフー等、日本の大手企業がアルムナイ・ネットワークの構築に取り組んでいる。
アルムナイ・ネットワークの構築を行うことで、企業の卒業生にアプローチする機会を定期的に持つことにもつながり、また対外的にも対内部的にも先鋭的な企業イメージをPRすることができるため、メリットはそれなりにあるものと思われる。
アルムナイ・ネットワークの取組の浸透は日本の終身雇用の崩壊と、その後の「少子高齢化」がもたらす売り手市場の流れ、そして転職市場の活性化と完全に同期している。
非常に興味深いのは、これまで日本企業では多くの海外企業が取り組んでいる施策のマネをしていてもどこかで「日本企業は日本企業でうちはうちだから」という雰囲気があって、何となく本気ではなく、時間が経てば止めてしまうような表面的なマネが多かった。
従ってアルムナイ・ネットワークの構築に関しても、「なんで裏切った人たちを囲い込む必要があるのか」、また「早期退職制度を利用した人やリストラした人とまたコンタクトを取るというのは心理的にも抵抗感がある」といった反対意見が大々的に出てきたりすれば、アルムナイ・ネットワークについても「日本と欧米では企業文化が違うから」といわれて廃れていく可能性はあったように思われる。
しかし、現状(取り組んでいる企業が大手中心とはいえ)そうなっていないのは、「少子高齢化」からくる「人手不足」「売り手市場」の影響もまた大きいから、と捉えることができるのではないだろうか。
現在、新しい採用構造の問題として「優秀な人材は大手が採用してしまうので中小企業は優秀な社員を採用できる機会が少ない」という状況が少しずつ見えてきている。
その背景で「少子高齢化」によって人材が日本企業にとって希少なものになっていく流れは既定路線として理解されている。
今後、転職市場の活性化と併せてアルムナイ・ネットワークの存在が今後の採用と企業活動にどんな影響を与えるのか、これからも注目される。