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アンカリングとは議論、商談、交渉などの時に基準値を示すこと。
アンカーは「anchor」すなわち船の錨のことで、アンカリングは錨を下ろすことを意味している。
交渉において基準値は非常に重要な位置づけを占めているので大切な考え方である。
尚、心理学の世界ではアンカリングという言葉は広く使われていて、NLPにおいて自分自身がポジティブな状態や気分を呼び起こすためにきっかけを作ることをアンカリングと呼ぶ。
(プロスポーツ選手が行うルーチーンがこれにあたる)
また、認知心理学の用語で意思決定において最初に与えられた情報に引っ張られるバイアス効果のことをアンカリング効果と呼ぶ。
この項目では議論、商談、交渉の中で使用されるキーワードの「アンカリング」について解説する。
例えば友人にテレビゲームのソフトを売るという交渉があるとする。
この際に古本屋さん等で中古だとそのソフトがいくらで売っているか、を調べて提示するのが「アンカリング」である。
例えば中古ショップで3000円で売っている場合には、この情報を提示することで、中古ショップに販売した時の金額をアンカリングの情報として提示することができる。
ここで納得を取ることができれば友人から3000円以下で入手できる可能性が高い。
アンカリングを適切に使うポイントとしては
①納得できる基準値を用意してその背景についても説明できるようにすること
②用意した基準値や前提となる数字と着地の数字とがあまりにもかけ離れていると信頼性を失うことが多いので注意すること
が挙げられる。
たとえば上記のゲームソフトの売買であれば、売り手が6,000円位を事前に提示していたら「足元を見て吹っ掛けてきた」という印象を持ってしまう。
さらにそこを指摘した結果「じゃあ2,000円で良いよ」となったら交渉において得はしているかもしれないが最初の数字とのギャップが大きいため「最初の6,000円って何だったんだ」という不信感を持ちかねない。
「アンカリング」「BATNA」「ZOPA」は、交渉の方向性が見えてきた段階で締結に向けての準備の中でも非常に重要な位置づけとなる。
特にアンカリングは、交渉自体の成否だけでなくその交渉への納得度にも大きな影響を与えるため、十分な情報武装をすることが求められてくる。
アンカリングという言葉を知らなくてもおそらく交渉や商談の中では基準値の提示はやっているものと思われるが、交渉の専門用語は全般的に「言葉を知ることでより強く意識する」ことが重要なのかもしれない。