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【インテグリティ・マネジメント】

インテグリティ(integrity)は誠実さ、真摯さを意味する単語。
経営する上での重要な考え方の中心に「誠実さ」「真摯さ」を位置付ける考え方を「インテグリティ・マネジメント」と呼ぶ。
コンプライアンスに対する要求基準が高度化/厳格化していきている中で注目されるようになった言葉と位置付けられる。
ピーター・ドラッカーが著した「マネジメント」の有名な一節に「(マネジャーには)根本的な素質が必要である。真摯さである」というものがある。
ドラッカーは著書の中で繰り返しインテグリティについて語っていて、現在のインテグリティ・マネジメントの考え方はドラッカーに由来するものと思われる。
※本稿のドラッカー「マネジメント」「現代の経営」の文章はダイヤモンド社、上田惇生訳のものより抜粋しています。

ドラッカーの「インテグリティ」論は単語翻訳の面で日本語にうまく一対一で収まる言葉がないため、文章として分かりにくく、非常に翻訳者泣かせであるという意見を度々耳にする。
ドラッカーは著書の中で仕事に対して厳しく、高い基準を課すことの重要性と「誰が」正しいのかではなく「何が」正しいのかをしっかりと考えることについて説くことが多い。
このことからドラッカーの「インテグリティ=真摯さ」には「仕事に対しての厳しい基準を自らに課す、プロフェッショナルとして仕事のレベル面の真摯さ」と「企業の倫理として正しい考え方を行うことを自らに課す、モラル面の真摯さ」の両方の意味を含意していると説明できる。

ドラッカーはインテグリティについて
・このような素質を欠く者は、いかに愛想がよく、助けになり、人づきあいがよかろうと、またいかに有能であって聡明(そうめい)であろうと危険である。そのような者は、マネジャーとしても、紳士としても失格である。
・真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。それはまず、人事に関する決定において象徴的に表れる。真摯さは、取って付けるわけにはいかない。既に身に付けていなければならない。ごまかしがきかない。
と非常に鋭く手厳しい言葉で説明している。

「すでに身につけていなければならない」の一文のとおり、インテグリティ・マネジメント実践の方法論については具体例として分かりやすいものがなく、また実現するための分かりやすい基準値のようなものもない。
ドラッカーの経営についての考え方は時に「道徳に寄りすぎている」「宗教的である」と言われることがあるが、インテグリティ論はそうした特徴が強く出ている一面なのかもしれない。

このようにインテグリティ論は抽象度が高いテーマではあるが、社会に規律と秩序をもたらす二つの要素「法律」「道徳」に立ち返って高い倫理観や道徳観を持っていなければ経営はできない、と捉えることが重要と言える。
「道徳、倫理に従って判断するとアウト」といえる必要があり、「法律違反だから、コンプライアンスエラーだからアウト」という認識では甘い、ということである。
そういう意味ではフルセット・コンプライアンス論(コンプライアンスを狭義の『法令遵守』ではなく広義の『良識に従う』と捉える考え方)の根本にあるものと位置付けることができるだろう。

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