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HPI(Human Performance Improvementヒューマン・パフォーマンス・インプルーブメント)は、人材の現状から課題を見つけ、成果・業績の向上と改善のために現状とのパフォーマンスギャップを埋める効率的で適切な介入策を立案・実行し、その成果などを測定するシステム的なアプローチのこと。
アメリカバージニア州に本部を置くATD(Association for Talent Development)という会員制の団体が管理している。
ちなみにATDの会員は全世界で35,000名、日本の会員は300名以上で、有名企業からの参加者が多数エントリーしていて非常に権威のある団体である。
HPIを理解する上で重要なのは下記の2点である。
①目指すゴールを明確に定義し、ゴールと現状の差を解決していくやり方が基本となること。
つまり問題解決のギャップアプローチの考え方が基本となる。
②ギャップを埋めるためのやり方は研修やトレーニングに限らない。
例えば「新人同士の交流を深める」のが目標であれば必ずしも研修だけが解決策ではなく、「飲み会の開催」「運動会」「ゲーム大会」といったやり方も検討できる。
幅広い解決策から検討することが肝要である。
HPIは日本ではあまり浸透しているとは言えないが、グローバル視点では多くの企業が取り入れていて世界標準の手法である。
HPIのプロセスは下記のような形で説明される。
HPIではパフォーマンスの問題の8割は組織の問題で、個人の問題は2割と考えられている。
個人のパフォーマンスには「配置の問題」「採用や処遇の問題」「組織構造の問題」「業務インフラの問題」「制度の問題」「モチベーションの問題」といった、「背景」と認識されがちながらもより広範な問題が複雑に絡んでいる、と考えられるからである。
この視点に立つと、HPIは人材開発と組織開発を融合させながら双方の守備範囲を拡張して経営に結び付ける点を重要視している、と位置付けることができる。
HPIを通して人材開発/組織開発に取り組むためには、より経営環境や市場の状況、そして現場の動きや空気を理解することが重要となり、人材開発部門、人事部門といった縦割りの狭い役割分担では不十分さが出てくる。
この点において、より経営と教育と現場を近づける取り組みという意味では最近CLO(Chief Learning Officer、企業の最高教育責任者)の登用が注目される流れと同期していると推測される。
HPIの浸透度は日本ではまだまだだが、その背景にある考え方は非常に組織的で「企業内の部活動」「運動会」「社員旅行」等、会社ぐるみのイベントを大事にしてきた日本企業の考え方を補足して共存できるものであり、今後の日本での展開が期待される領域である。