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【反知性主義】

反知性主義は、エリート主義や知的権威主義に対して懐疑的な姿勢を取る主義/主張のことを指す。
知性を否定する主義ではなく「知性主義」に対するアンチであることに注意が必要である。
知性よりも知能を重要視するスタンス、という説明がされることも多い。
1950年代のアメリカで使われ始め、歴史学者リチャード・ホフスタッターが1963年の著書「アメリカの反知性主義」を発表したことで一般的に浸透するようになった。
尚、背景には「アイゼンハワー・マトリクス」で有名なドワイト・D・アイゼンハワーが政治的、知性主義的な権威を持っていないにも関わらず「仕事ができる」「現場主義」といった評価で大統領に選ばれる等「実行至上主義」「頭でっかちは使えない、やってナンボ」といった空気がその時期のアメリカにあったことが指摘されている。

アメリカに反知性主義が出現した背景を遡って詳細に分析すると、キリスト教の大覚醒運動があるとされている。
本来、清教徒の伝統では聖書を理解するだけの知性が求められるが、聖書の説教は一般人、庶民には退屈でつまらないものであった。
時代が下がると高度な神学的説教よりも平易な言葉で聴衆を感動させ、熱狂を巻き起こすスピーカーによる説教が支持を集めるようになり、それが大きなうねりとなって大覚醒運動と呼ばれる宗教運動となった。
大覚醒運動のポイントは、「私は回心した」と集団が自覚することが重要であって神学的な厳密さや個人的な経験を追求しなかったことである。
これがアメリカの実行至上主義的文化の形成を促進する要素の一つとなり、また現在のアメリカ大統領選挙やスピーチ、プレゼンテーションのあり方にも影響を与えている。

日本では2015年頃、アメリカ大統領選を背景に知識人の間で流行したが、日本の知識人が使う際には「知性を否定する知性の低い人達」という、相手の主義主張を感情的に攻撃するニュアンスが散見される。
宗教学者の島田裕巳氏は著書「反知性主義と新宗教」の中で、日本でも本来の意味の反知性主義は見られるとしている。
形としては豊臣秀吉や田中角栄、松下幸之助といった一般庶民出身の立身出世譚とカリスマ性の獲得を重要視する人たちが知的権威者と対立する傾向が経済界、政治の世界にも広く存在すると指摘している。

人材開発の文脈においては「その研修が有意義かどうか」よりも、時として「講師の話、キャラクターが面白いかどうか」を重要視してしまう現象が反知性主義的現象として度々現れる。
また「人材開発部は現場が分かっていない」「自分は仕事ができるのだから研修など受ける必要がない」といった受講姿勢の人や、教える側でも「現場を分かっている」「自分は成果を上げてきた」ことを根拠に再現性のない自己流/我流を押しつける姿勢を取る人はかなりの割合で存在する。
目覚ましい成果を上げた人と同じやり方をすれば同じ成果が上がるとも限らないし、そもそも同じことができるという保証も本来は存在しない。
そのため、組織として全体の成果を上げようとすると、教える側も教わる側もある程度は再現性や標準化を意識しなければならない。
そうした意味では「成果の標準化志向=科学的、学術的アプローチ」は否定できない、という学術志向の考え方が人材開発の世界には反知性主義の対になるポジションに存在する。
人材開発の世界でも知性主義と反知性主義の対立が広く存在すると言えるだろう。

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