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【OJT】

On the Job Trainingの略語。職務を通じて行う職業訓練のこと。
仕事の力は仕事を通して身に付けるのが一番なので、非常に重要な訓練手法であると言える。
野中郁次郎氏を代表とするナレッジマネジメント論の論客は「日本企業のOJTは仕事現場の暗黙知を継承するうえで非常に重要な機能を果たしていた」と説明している。

OJTを実行し、効果あらしめていくうえで注意しなければいけないのは、教える側が多忙であるがゆえにOJTという名前の下に「ほったらかし」「本人任せ」としてしまい、
然るべきトレーニングがなされていない状態となってしまうことである。
つまり「OJTは仕事ではなくて訓練の場である」という認識を行う側も指導を受ける側も持ち、そのための環境整備やコミュニケーションを行う必要がある。
また、仕事の目的や深い意義、意図を教えないで、ただの「便利な作業者養成訓練」をしてしまうことにも注意を払わなければならない。
こうした状態を防ぐためには、仕事を教える側(=OJTトレーナー)が「訓練を受けている本人が自分で学び、自分でPDCAサイクルを回せるようにするための補助役としての立ち回りかた」を認識して「それを実現するための適切な対応(=叱る、褒める、1on1ミーティングを継続的に行う、必要時には相談に乗る 等)」を実行することが重要となる。
OJTを効果的に行うためにはきちんとした計画とコミュニケーションが必須であり、また「一人前」に育て上げてその後も会社の中で活躍してもらうためには多角的な視点での支援や制度設計を行う必要があるため、結果としてOJTは「その企業の人材への考え方」「育成風土」が大きく顔をのぞかせる要素になることが多い。
2024年現在、OJTを行う上でロードマップや育成計画の重要性が再認識されるようになってきたように思われる。
新入社員、若手社員の早期退職が社会的課題となりつつあるが、「辞めてもすぐに次が見つかる」「向いていない会社に長くいるのはリスクが大きい」といった状況、考え方が拡がってきているため、新入社員や若手に対して「会社に残ることのインセンティブ」を目に見える形で提示することが非常に重要となってきている。

日本企業の雇用慣習とそこで働く人たちの意識の変化は大きなものがある。
結果として「社内の人口ピラミッドの変化」「組織の階層構造の変化」「人事評価制度の変化」「働く人の意識の変化」等、日本式のOJTが機能するための前提だった要素も大きな変化にさらされている。
今後は時代の変化を捉えながらOJTの「良い習慣/良い資産」を各社なりにどう組織に保管/保存していくかが重要なポイントになると推測される。

 

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